グリスは、部品同士の摺動を滑らかにするために塗布されます。グリスの量が多すぎると、はみ出した部分を拭き取る手間がかかり、材料の無駄やコストの増加が発生します。逆に、グリスの量が少なすぎると、スイッチなどの操作感が変わったり、製品の不具合の原因になったりすることもあります。しかし、接着剤とは異なり、部品同士を固定するものではないため、設備投資の重要性が軽視されてしまうこともございます。
グリスが多い | グリスが少ない |
---|---|
はみ出しを拭き取る作業が増える | スイッチ等の操作感に影響 |
無駄な材料コストが発生 | 軋み音などが発生し、不具合に |
グリスは接着剤と違い硬化しないため、粘度が変わりづらい液剤だと考えられがちです。しかし、多くのグリスは、静止状態から流動状態に移行すると、粘性が低下する性質を持っています(チクソトロピー現象)。吐出条件が一定でも、この粘性の変化によって吐出量が変化することがあります。
材料の粘度に左右されず、ディスペンサーから決まった体積を吐出できるディスペンサーが、
①プランジャーポンプ方式 MPP ②モーノ方式 MOHNOMASTERの2つです。
これらのディスペンサーが、グリスの定量塗布を可能にします。
特長の違いは以下の通りです。
MPP | MOHNOMASTER | |
---|---|---|
方式 | プランジャーポンプ | モーノ |
吐出精度 | ★★★ | ★★☆ |
吐出速度 | ★★☆ | ★★★ |
ランニングコスト | ★★☆ | ★☆☆ |
多くの場合、グリスを塗る箇所は、部品と部品がはめ合う部分になっており、アクセスしづらい場所に位置しています。そのため、ディスペンサーのニードルやノズルが届きにくく、このことがグリス塗布を自動化する障壁になることもございます。
ジェットディスペンサーは、狭いエリアにニードル・ノズルを侵入させることなく、離れた位置からグリスを塗布することが可能です。また、塗布の方向も真下に限らないため、アクセスしづらい塗布位置にもディスペンスが行えます。
グリスの詰替え作業は、手間であるのと同時に、作業中に液剤に気泡が入り、塗布不良の原因となります。ジェットディスペンサーを用いる場合、当社ではグリス缶のまま直接セッティングが可能な、タンク圧送システム・ペール缶塗布システムをセットでご提案しております。
万が一、液剤に気泡が入っていた場合にも、ミスショット検知ユニットを併用することで、空打ちを検出することが可能です。
注) AeroJetシリーズのみ対応
ディスペンサーは、点や線の状態でグリスを塗布します。そのため、レール状の部品などの10mm以上の幅があるエリアに対して、短時間でグリスを塗布することはできません。塗布形状を広げる目的でスプレーバルブを使用してグリスを塗布しようと試みても、グリスの粘度が高いためスプレーすることが難しく、グリスが飛び散ってしまい満足な品質を得ることができません。
当社が開発したスプレーバルブ、SSV-1は、霧化するためのエア流路を従来のものから改良することで、高粘度液剤のスプレー塗布を可能としました。これにより、広範囲のグリス塗布であっても、短時間で実現でき、またグリスの厚さや量を一定に管理することができます。
グリス塗布サンプル比較
事例 | 1 | 2 | 3 |
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課題 | 塗布量のばらつき | ノズルのアクセス | 広範囲の一括塗布 |
解決策 | 定量吐出ディスペンサー | ジェットディスペンサー | 高粘度対応スプレーバルブ |
製品 |
グリス塗布における課題に応じて、3つの事例をご紹介しました。テストやデモ機のお貸出しにつきましては、以下のリンクよりお気軽にお問合せください。
高性能ゲーミングPCのCPU放熱に、液体金属の採用が進む。非接触Jetディスペンスで高速・安定塗布を実現。
スピードが速い、ワークとの接触事故がない、下・横・斜めから塗布できる。
実装基板(PCB)を保護するコンフォーマルコーティング。
個々のワークに異なる歪みや反りがあっても、パレット内でワークが位置ズレしても問題なし。