プランジャーポンプとは?構造・仕組み・特徴・種類などを解説!
プランジャーポンプの仕組みとそれを活用したディスペンサーのメリットとは
プランジャーポンプは多くの産業で利用される重要な設備です。ここではプランジャーポンプの概要からその仕組み、種類、応用範囲、保守などについて詳しく解説します。
プランジャーポンプとは?
プランジャーポンプは、プランジャーというピストン状の部品を利用して液体を定量押し出す仕組みを持っており、液体を吸引・吐出することができるポンプです。化学薬品の注入・石油の輸送・食品の加工など多岐にわたる産業用途で使用されています。
プランジャーポンプの構造と仕組み
プランジャーポンプは、シリンダー内でプランジャーが往復運動することにより液体を移送します。プランジャーが後退するとシリンダー内に液体が吸引(充填)され、前進すると液体が排出されます。
例えば、水処理施設で使用されるプランジャーポンプは、シリンダー内の水をプランジャーの動きで高圧に押し出し、汚水を浄化するプロセスに送り出す役割を果たしています。ピストン運動によって発生する高い圧力が、効率的な液体の移送と浄化処理を可能にしています。
プランジャーポンプのメリット
プランジャーポンプは、シリンダーの体積で吐出量を管理するため、その精度が非常に優れています。高圧で液体を押し出すため、吐出速度も速いです。一方で、単純な仕組みであるため、メンテナンスが容易で耐久性が高いという利点があります。
◎ 吐出精度が高い◎ 吐出速度が速い
◎ メンテナンスが容易
◎ 耐久性が高い
プランジャーポンプの種類
1)高圧プランジャーポンプ
特殊な構造で圧力を高めたプランジャーポンプ。高圧洗浄装置や水切断機では、強力な水流を生成し、汚れを除去したり金属などの硬い材料を切断したりするため、高圧プランジャーポンプが用いられます。
2)低圧プランジャーポンプ
洗浄や切断などの機能を目的とする高圧プランジャーポンプに対して、液体の供給を目的としたプロセスで使用されるものを低圧プランジャーポンプと区別します。低圧プランジャーポンプは、冷却水供給システムや農業用灌漑に適しています。冷却水供給システムでは、工業プロセスや大型機械の冷却を効率的に行うために大量の水をプランジャーポンプで供給します。農業用灌漑では、広範な畑地に水やりをするために、大量の水をプランジャーポンプで均等に供給します。
武蔵エンジニアリングのプランジャーポンプ
当社では、液体の定量吐出・供給を目的とした低圧プランジャーポンプ「JUSTROPUMP」を製造しています。プランジャーポンプ最大の特長である定量性と高耐久性をさらに高めており、主に食品業界や電子部品業界での充填プロセスで用いられております。
・低粘度液体材料を精密・定量吐出
・高サイクル速度により高速吐出
プランジャーポンプの選び方
1)液体材料と接液材質を確認する
当社では、ポンプ本体の材質や、Oリングの材質を、使用する液体材料に応じてご提案しております。耐薬品性などで懸念がある場合には、お気軽にご相談ください。
2)充填量を確認する
ポンプ1台でまかないたい、最小の吐出量と最大の吐出量を確認します。ポンプの容量を超える体積を、一度の吸引で吐出することはできませんが、一方でポンプの大きさが大きくなるほど、吐出の分解能は粗くなります。当社では5mLと13mLのサイズの2種類をラインナップしておりますが、最大250mLのサイズまで製作が可能です。
3)駆動方式を選択する
プランジャーの駆動方式は、エア駆動が最も安価で、一般的です。吸引・吐出のタイミングに合わせてエアのON・OFFを切り替えることでプランジャーが動作します。
参照)専用ポンプコントローラ ME-5000P
エア駆動の場合、ポンプ本体に付いているマイクロメーターやスピードコントローラーの開閉で吐出量や吐出速度を調整します。そのため、充填量が用途や品種によって頻繁に変わる場合には、ポンプ内の体積をモーターで管理することができる、モーター駆動のプランジャーポンプが推奨されます。当社では、モーター駆動式も特注で販売しております。
エア駆動
吐出量・吐出速度はポンプ本体の操作で変更
モーター駆動
吐出量・吐出速度を上位装置から制御が可能
プランジャーポンプのデメリット
1)適応可能な材料粘度範囲が狭い
プランジャーポンプは、プランジャーの移動によってシリンダー内に生じる負圧で液体を吸引するため、中~高粘度の液体材料の移送には適していません。
2)プランジャーの動作速度を制御できない
プランジャーの動作速度は、吐出の時間に影響します。エア駆動のプランジャーポンプでは、吐出時間を全体的に短くする・長くするといった調整はできるものの、プランジャーの移動開始から終了までのストローク中の移動速度は一定ではありません。したがって、最終的にポンプが吐き出す液体の定量性はあっても、線引きなどの、一定時間一定の速度で吐出する用途には使用することができません。
3)充填と吐出が必ず1回ずつセットになる
プランジャーポンプは原則、1回で充填した量については1回ですべて吐出しないと精度が得られません。半分だけ吐出するために途中で停止したり、途中で吐出量を変えたりすることはできません。
プランジャーポンプ式のディスペンサー
当社のディスペンサー、MPPシリーズはプランジャーポンプの仕組みをディスペンサーに応用することで、優れた耐久性を持ちつつ、液体材料の粘度変化に対応した高精度吐出を可能にしています。また、先述したプランジャーポンプのデメリットを解消しています。
1)適応可能な材料粘度範囲が広い
液体材料に加圧を行っているため、通常のプランジャーポンプでは吸引できない、高粘度の材料も充填・吐出することができます。これにより、接着剤やグリスなどの液体材料の定量吐出に使用可能です。
2)プランジャーの動作速度が制御可能
プランジャーはモーター駆動で、一定速度での吐出動作が可能なため、接着剤の線引き塗布や打点塗布にも用いることができます。吐出量を変えることなく、吐出速度を最適に管理可能です。
3)充填量と吐出量は分けて設定できる
モーターのストローク量(吐出量)と速度は最大400CHまで保存可能で、一度の動作で充填した液体材料を、任意に分割して吐出することができます。これにより、1つのワークに対して複数パターンの塗布を自動で行うことが可能です。
当社のMPPシリーズは粘度変化する液剤を精密に定量吐出する、容積計量デジタル制御ディスペンサーです。吐出量を体積、重量で設定可能なほか、独自のプランジャー方式により優れた耐久性を誇ります。
精密塗布用のMPP-5-Sと、大容量吐出用のMPP-5-Mの2ラインナップで、幅広い分野の塗布工程の安定・改善に貢献しています。
・吐出量を体積・重量で設定可能
・独自のプランジャ方式により優れた耐久性
・従来比10倍の「大容量」容積計量デジタルディスペンサー
・ポンプサイズのラインナップに合わせて、ヘッドの選択が可能
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