コンフォーマルコーティングとは?塗布に必要な知識を解説!

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コンフォーマルコーティングとは?塗布に必要な知識を解説!

コンフォーマルコーティングとは

コンフォーマルコーティングとは、ポリマーまたはシリコーン系のコーティング材料を電子部品(主に実装基板)の表面に均一に薄く塗布することを指します。このコーティング剤は、細部や凹凸への密着性に優れており、製品の不具合につながる湿気から基板を守ることができます。また、耐熱性や耐薬性を備えた材料も存在します。

コンフォーマルコーティングは、その特性を活かして、車載基板や自動車の電子制御ユニットなど、自動車業界で広く使用されています。特にエンジンルームや車体外部の部品は、高温・高湿・振動などの厳しい条件にさらされるため、部品の信頼性や耐久性を向上させ、故障のリスクを低減させる目的で、コンフォーマルコーティングは欠かせないプロセスとなっています。

コンフォーマルコーティングの塗布技術

低粘度のコーティング材料塗布

スポットコーティング

多くのコンフォーマルコーティング材料は絶縁性があり、着色されているため、コネクタのソケットや光学系などの実装部品に付着させてはいけない場合があります。そのような部品を回避しながら、必要な箇所に必要な量のコーティング剤を塗布することを、当社では「スポットコーティング」と呼んでいます。スポットコーティングが行えない場合、塗布禁止領域に対して事前にマスキングを行い、その後全面に塗布する方法もあります。しかし、マスキングの取り外しは手作業になるため、量産性に課題があります。

スポットコーティングには、ニードルで液を垂らす塗布方法やハケ塗りもありますが、現在では実装部の微妙な凹凸や狭い範囲への塗布に対応するため、ジェット方式のディスペンサーが多く用いられています。

ジェット方式ディスペンサー「AeroJet」

当社のジェット方式ディスペンサー「AeroJet」は、液剤を勢いよく吐出し、ノズル先端から飛翔させることが可能です。また、基板のコーティング用に5mmから30mm以上の長いノズルもラインナップしており、ディスペンサーと実装部品が干渉しやすい狭いエリアでも塗布を行うことができます。

ワイドコーティング

スポットコーティングと対比して、広範囲を高速で塗布する方法を当社では「ワイドコーティング」と呼んでいます。ワイドコーティングではコーティング剤が飛散しないように、扇形状に広げて塗布できるカーテンコート(フィルムコートとも呼ばれる)バルブを使用することが多いです。当社は、2023年末に最新型のカーテンコートバルブ「CV-15」をリリースしました。このバルブは、開閉応答性が従来機の3倍に向上し、よりきれいで安定した塗布形状を実現しています。

コンフォーマルコーティングのイメージ

コーティングの気泡対策

特に低粘度の溶剤型コンフォーマルコーティング剤では、気泡の対策が重要です。塗布後のコーティング剤に気泡が含まれていると、そこから結露を引き起こし、基板の故障につながる可能性があります。気泡の混入については、以下の3つの要因が主に挙げられます。

    1. ディスペンサーの先端から空気を巻き込む場合
    2. 供給容器に入ったコーティング剤自体に気泡が溶け込んでいる場合
    3. コーティング剤がうまく濡れ広がらなかった場合

これらの対策として、設備のパラメータ管理や、容器内に内蓋を設ける方法、プラズマ処理を行うことでコーティング前に基板や部品の表面改質を行う方法が挙げられます。

高粘度のコーティング材料塗布

近年、特に欧州を中心に、コンフォーマルコーティングのVOC削減や溶剤レス化の取り組みが加速しています。この結果、溶剤を含まない高粘度のコーティング剤が選択肢として増加しています。高粘度の材料を使用することで、塗布後の液剤の流動を気にせずに次の作業に移れることや、液剤が不要な範囲に流れ込みにくいといったメリットがあります。

スポットコーティング

低粘度材料のコーティングで使用されるジェット方式のディスペンサーは、グリースや接着剤の自動塗布にも用いられる設備であり、中〜高粘度のコーティング剤においても特別な対応をせずに塗布できる場合が多いです。

ワイドコーティング

広範囲にコーティングを行いたい場合、低粘度材料と高粘度材料では選択すべき塗布方法に大きな違いがあります。先述したカーテンコートバルブは、ノズルの形状と一定以上の流速で液体を広げて塗布していますが、流速が出にくい高粘度の材料には使用できません。

当社では、高粘度対応のスプレーバルブ「SSV-1」をリリースしています。この製品は液体と気体を混合して霧化する技術を備えており、それにより、従来のコーティングバルブでは塗布できなかった高粘度の液剤であっても、薄く広範囲に塗布することが可能です。

コンフォーマルコーティングの塗布装置

半自動型のコーティング装置

当社では、塗布動作は自動化しつつも、一部の工程で人手を介在させる設備を「半自動型」と分類しています。当社の代表的な製品として、XYZの3軸制御が可能な卓上型ロボット「SHOTMASTER」シリーズがあります。このシリーズは産業用ロボットに該当せず、机上に設置して即日運転を開始できる手軽さが特徴です。特に少量多品種の生産において力を発揮します。

また、専用のプログラム編集ソフト「MuCADⅤ」は、基板の写真やCADデータをプログラム編集画面の背景に取り込み、上から重ねてマウス操作で塗布範囲を指定することで、簡単にプログラムを作成できます。このソフトウェアは、一連の塗布動作の中で、塗布禁止エリアを指定することで塗布を行わない範囲を簡単に設定できる「中間カット機能」を備えており、お客様から高い評価をいただいています。

全自動型のコーティング装置

半自動型の装置が安価で自由度や対応性に優れている一方、全自動型は生産能力や品質向上を目的とした搬送機構を一体化した塗布設備です。当社の全自動コーティング装置「FCD」シリーズは、自動塗布による歩留まりを高めるため、以下の3つの重要な機能を備えています。

  • 液温管理システム
    高品質なコーティングのためには液温の管理が非常に重要です。安定した液温は塗布の量や幅を一定に保つための重要なパラメータであり、塗布後の濡れ広がりにも影響します。FCDシリーズでは、液剤を循環させるシステムを標準搭載しており、専用の温度フィードバック機構で液温を一定に維持し、高い塗布品質を実現しています。
  • カーテン幅の自動補正
    優れたシステムで塗布条件を一定に管理したとしても、常に同じ塗布品質を保つことは容易ではありません。そこで、全自動コーティング装置には、均一な塗布が継続的に行えるよう、専用の監視システムでコーティング幅を自動補正する機能が備わっています。
  • 塗布位置の自動補正
    基板に対して、正確な位置へロボットを動かし、塗布を行うことも高品質な塗布の条件です。フィデューシャルマークをカメラで認識し、基板の位置ずれや傾きの補正を行うことはもちろん、コーティングバルブから塗布された液剤の位置もカメラで自動認識し、プログラムを補正することで、狙ったポイントに確実に塗布を行うことを可能にしています。

 

大型部品へのコーティング装置

近年、IoTやAIの発展に伴い、高速で情報処理を行う高性能で大型の実装部品が増加しています。このような部品の大型化や、1枚の基板に求められる機能の多様化により、基板自体も大型化する傾向があります。大型部品へのコーティングにおいては、特に背の高い部品の根元部分へのコーティングが難しくなる場合がありますが、当社ではこれらの課題に対応した製品やオプションを提供しています。

全自動コーティング装置「FCD1200」は、従来機では搬送できなかったLサイズの基板(最大500mm×500mm)まで対応範囲を拡大した新製品です。搬送可能な基板高さについても、実装部品を含めて表裏面ともに最大90mmまで対応可能で、大型部品へのコーティングを想定した設計となっています。また、全自動機・半自動機のいずれにおいても、チルトヘッド(ディスペンサーの角度切替)機構をオプションとして選択可能にしており、真上からノズルを近づけるとディスペンサーが部品に干渉するようなアクセスしづらい塗布位置にも対応しています。

お問合せ先・おすすめのカタログ

当社は、コーティング技術をはじめとする液体精密制御技術や塗布技術を通じて、生産現場の課題解決に貢献していくことを目指しています。当社の塗布技術に関するご質問やお問合せがございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。


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