進化する電子機器の熱対策|放熱材料・TIMの役割と選び方

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進化する電子機器の熱対策|放熱材料・TIMの役割と選び方

この記事について

この記事では、熱対策における課題、放熱材料の種類や選定について解説します。

放熱材料による熱対策


電子機器の高性能化と小型化に伴い、発熱量の増加が課題になっています。 わずかな温度上昇が、機器の性能低下や故障リスクの増加につながるため、チップから基板、 発熱部品までの全体で熱を管理する必要があります。
放熱材料は、熱の流れを改善し、安定した動作を支える重要な役割を果たします。

温度上昇がもたらすリスク


電子部品の寿命は温度変化で大きく左右します。高温にさらし続けると劣化が進行し、 本来よりも使用できる期間が短くなってしまいます。 さらに、熱サイクルによる繰り返しの熱応力・熱疲労が蓄積することで部品が破損しやすく、 わずか数℃の温度変化であっても故障に繋がる可能性が高まります。
放熱材料を使用することで、接触面の微小な隙間による熱抵抗を低減し、リスクを減らすことが出来ます。

接触面の凹凸と熱抵抗


発熱体やヒートシンクなど発熱部品の表面には、ミクロ視点で凹凸があります。 部品同士が接触するのは凸部の一部のみで、残りは空気が占めています。 しかし空気はほとんど熱を通さないため、そのままの状態で使用すると、全体の温度が大きく上昇してしまいます。 機器の小型化に伴い、部品同士の接触面積も小さくなるため、対策の工夫がさらに重要になります。

放熱材料なしの場合

放熱材料なしの場合

空気に阻まれ温度が上昇
劣化、故障に繋がる

放熱材料ありの場合

放熱材料ありの場合

放熱材料を取り入れることで
熱が流れやすくなります



放熱材料は主に液状タイプと固形タイプに分けられます。

区分 代表例 メリット デメリット
液状 放熱グリス(サーマルグリス)、放熱ギャップフィラー、放熱接着剤 自動化が容易、密着性が高い 塗りムラの管理が必要、液だれリスク
固形 放熱シート、金属シート、グラファイトシート 厚みの管理が正確、設置作業が簡便 部材コストが高め、形状の自由度が低い

最近の工場ラインでは、人件費削減や精度の安定化のために、「液状の放熱材料」をディスペンサーで自動塗布するケースが非常に増えています。



液状放熱材料を使用するメリット

放熱材料ありの図

・組立時に放熱材料から構成品への反力がほとんどない
・接触面に隙間ができないので、熱伝導効率が良い
・異なるワーク形状に対して塗布プログラムの変更だけで対応可能




TIM(Thermal Interface Material)の役割


TIMとは熱伝導性材料の総称であり、電子部品と発熱部品との微小な隙間を埋める材料です。 ベースとなる放熱材料に、熱を伝えるためのフィラー(熱伝導粉体)を混ぜて作られます。
TIMはグリース、シート、ゲル、接着剤など複数種類があり、それらを使用して凹凸を埋めることで、熱が面全体で流れるようになります。
TIMを選定する際にメーカーが公表している数値だけで判断してしまうと、実際の運用時に狙った温度まで下がらないケースが頻発します。 実際に熱がどれだけ流れるかは、TIMの厚み、接着圧力、接触面の汚れや傷、時間経過での変化など、実装方法や環境条件で決まります。
このように使用条件によって性能が大きく変化するため注意が必要です。

TIMの種類と特性


  代表的な工程 メリット デメリット
グリース 塗布、充填 追従性が高く薄膜塗布に適している。
凹凸への密着が良好。
塗布量によって性能が大きく左右されるため正確な管理が必須。
ポンプアウトで熱抵抗が増加しやすい。
シート 貼付、設置 厚みが確保しやすく管理がしやすい。
貼るだけで施工完了。
貼りつける面の凹凸に追従しにくい。
液体より密着度が少ないため、貼付直後から空気が残りやすい。
ゲル/パテ 塗布、埋め戻し、成形 複雑な形状や局所的な凹凸に対応可能。形状自由度が高い。 未硬化で粘弾性を保つタイプと、後で硬化するタイプがあり、使い分けが必要。
接着剤
(硬化型)
塗布、接着、硬化 部品の固定と放熱を同時に実現できるため、薄型化や振動での緩み防止に有効。 再作業性が低く交換や修理が困難。
硬化収縮で割れ・剥離につながる。

上記の大半は、樹脂をベースに製造されています。
樹脂系TIMは、フィラー(熱伝導粉体)としてセラミックス粉体(アルミナ、h-BNなど)を混ぜることで熱伝導性を高めますが、フィラーの充填量が多いほど粘度が上昇し、塗布や成形が難しくなります。この課題を解決するには、粉体の大きさと形状が異なる粒を複数組み合わせることで、充填性と流動性のバランスを取ることが重要です。

フィラーの比較

フィラー 用途 メリット デメリット
アルミナ
(Al2O3)
スマホ/PCなど標準的な放熱が必要な機器。特にコスト効率が重要な量産品に向いている。 高濃度で混ぜても流動性が保たれ、様々なTIM形態に対応できる。 粒径・純度によって性能がばらつきやすく、用途に応じた選択が必要。
六方晶窒化ホウ素
(h-BN)
パワーデバイス(車載)など、電気絶縁と高い放熱性が同時に必須な環境に向いている。 高放熱と電気絶縁を両立。混練しやすく扱いやすい。 潤滑性が高いため密着性確保に表面処理が必要。材料コストが高い。


当社の推奨ディスペンサー


液状放熱材料 放熱
ギャップフィラー
放熱グリース シンタリング
ペースト
液体金属
硬化 1液/2液硬化型 1液非硬化 硬化(焼結) 非硬化
熱伝導物質 アルミナなど アルミナなど Ag/Cuなど ガリウムなど
推奨
ディスペンサー

2液対応容積計量式 デジタル制御ディスペンサー DUAL MPPシリーズ

大流量スクリューディスペンサー SCREW MASTER MSD-3-HF

大流量スクリューディスペンサー SCREW MASTER MSD-3-HF


超高速・非接触ジェットディスペンサー SuperJet3


ディスペンサーの選定方法についての詳細は、下記カタログをご参照ください。

おすすめのカタログ

熱対策(放熱材料)
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用途別の放熱材料選定ポイント

スマホ/PC

問題点 限られたスペースに高い発熱が集中するため、温度が上昇しやすく、性能低下や故障のリスクが増加します。
解決方法 発熱源から筐体までの距離を短くして効率的に熱を逃すため、薄膜で高い密着性を持つTIM材料が必須です。
代表的な放熱材料 スマホ:放熱グリース
PC:液体金属・液体金属放熱ギャップフィラー・放熱グリース
液体金属塗布の導入事例はこちら

自動車

問題点 エンジン振動や路面振動、温度変化がある環境ではポンプアウトやクラックが発生して、熱抵抗が上昇します。さらに、パワーデバイスの発熱体には高い電圧がかかっており、TIMが破損してそれが発熱部品と直接接触すると、電気が流れてショートする危険があります。
解決方法 高い絶縁性や、高電圧化でも破損しない耐久性をもつTIM材を選定し、時間経過や高温・湿度環境でも安定性を維持することが重要です。
代表的な放熱材料 放熱ギャップフィラー・放熱グリース・シンタリングペースト

各用途共通の課題

共通して必要なことは、選定した放熱材料が量産工程で確実に施工できるかを事前に確認することです。
塗布する量や位置など工法条件のばらつきが、最終的な品質を左右するため、材料選定時にその実現可能性を検証することが重要です。


まとめ

AIの進化による電力消費量の増加に伴い、放熱対策の重要性は高まっています。
放熱材料の性能を活かすために、弊社の塗布技術でサポートいたします。ご不明な点やご相談についてはお気軽にお問い合わせください。


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2液ディスペンス
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